衛生委員会とは?目的と役割をわかりやすく解説!(衛生委員会シリーズ:1回目)

「衛生委員会は設置しているけど、実際に何を話し合えばいいのかわからない…」
「法律で義務だと聞いたけれど、どこまでやれば十分なの?」
「そもそも衛生委員会は何のためにあるの?運営するメリット、参加するメリットはある?」
職場の安全と健康を守るために重要な役割を担う衛生委員会ですが、その運営に悩む会社の担当者は少なくありません。この記事では、そんな疑問や不安を解消すべく、法律的背景も含めて衛生委員会を「形だけ」ではなく「実際に役立つ場」にするためのヒントをお届けします。
全5回シリーズで、以下のテーマに沿って順番にわかりやすく解説していきます。
1回目:衛生委員会とは?目的と役割(本記事)
法律的な背景や設置の必要性を徹底解説。
2回目:衛生委員会の構成メンバー
誰が参加すべき?役割と選び方のポイント。
3回目;産業医の役割と活用方法
専門家として産業医をどう活用すればいいのか。
4回目:衛生委員会の活動内容
話し合うべきトピック、審議事項やPDCAの回し方。
5回目;衛生委員会の運営と有効活用方法
年間スケジュールの作り方や成功事例を紹介。
会社目線・従業員目線でメリットが増える運営のコツ
「衛生委員会 面倒 無駄」の声がなくなる運営のコツ
衛生委員会の基本的な知識から実践的な運営方法まで、このシリーズを通じてわかりやすくお伝えします。
今回は、第1回として「衛生委員会とは—その目的と役割」について詳しく解説します!
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【 衛生委員会とは? (定義) 】
衛生委員会とは、職場の安全と健康を守るために設けられる会議体のことです。従業員の労働環境を改善し、健康を支えるための話し合いや提案を行います。
業種を問わず、すべての業種で常時50人以上が勤務する事業場では設置し、少なくとも月1回以上の開催が義務づけられています。( 労働安全衛生法18条等 ) ※ 常時50人以上の従業員数には、パート・アルバイト、派遣社員も含まれます。
【 衛生委員会の目的 】
①労働者の安全と健康を確保すること
職場でのケガや事故・健康障害を防ぐために、労働環境を整備することが主な目的です。
②従業員が働きやすい職場環境をつくること
快適な職場環境は、生産性の向上や離職率の低下にもつながります。
③会社の法令遵守をサポートすること
労働安全衛生法を守るための取り組みを進めます。
【なぜ衛生委員会が必要なのか?(法律的な背景)】
衛生委員会の設置は、労働安全衛生法第18条で定められています。
労働安全衛生法とは、労働基準法と相まって、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的として定めれた法律です。
働く人にとって、安全と健康(衛生)は最も大切であるため、業務上の組織とは別に、安全衛生面での管理体制を明確にすることが定められています(🟰安全衛生管理体制)。
その体制のもと、衛生委員会の実施が義務付けられているのです。
法律に違反すると、労働基準監督署から是正指導を受けることもあります。企業の信頼性を守るためにも、必ず設置しましょう。
【 衛生委員会の役割 】
衛生委員会は、労働環境に関するさまざまな課題を話し合い、解決策を提案する場です。具体的には次のような活動を行います。
・職場の労働環境を調査・審議 ( 空調や照明などの改善、作業場の安全性チェック)
・健康診断、ストレスチェック等の実施および受診・受検状況の確認
・労災発生件数、傷病者の数、過重労働・長時間労働の状況を可能な範囲で共有し、原因と再発予防策を話し合う
・健康管理に関するルールの確認 (就業規則や社内規定の整備状況)
-メンタルヘルス不調者への職場復帰支援、がん等の治療を要する人の両立支援、健康情報管理
・職場巡視の報告、結果の共有
・従業員と組織のメンタルヘルスも含めた心身の健康保持増進のための対策
これらの項目を、年間を通して計画、実行、評価、再計画のいわゆるPDCAサイクルを保ちながら実践していくことが目標です。
【 衛生委員会設置のステップ 】
・メンバーを選定
・事業者、産業医、衛生管理者、労働者代表を選ぶ
・初回会議を開催
・年間スケジュールや目標を共有する
・議事録を記録
・議事録の社内共有
・改善策を実施
【 よくある質問 】
Q: 従業員50人未満でも衛生委員会を設置できますか?
A: 義務ではありませんが、設置は可能です。
また、事業者側が安全と衛生に関して、労働者の意見を聞く場を設けることが推奨されています。
設置することで、職場環境の改善にもつながります。また、過重労働の発生や従業員の健康障害の発生の際などにも衛生委員会の体制があることで、早期の対応や有事の仕組みづくりを行うことが可能です。
組織自体の健康意識を上げ、トラブルを未然に防ぐという観点からも設置のメリットは大きいと言えます。
Q: 従業員が多忙なため、衛生委員会で人が揃いません。大丈夫ですか?
A: できれば避けたい事態です。
委員会のメンバーが揃わない形は、活動自体に意味がなくなり、形骸化してしまう恐れがあります。オンライン参加も交えるなど柔軟性を確保し、あらかじめスケジュール調整もしっかり行ったうえで委員会参加の必要性と意義を十分にメンバーの方々にも理解を得て有意義な会を行なっていくことが重要です。
【 まとめ 】
衛生委員会は、従業員の安全と健康を守るための重要な役割を担っています。法律的に設置が義務付けられているだけでなく、職場環境の向上や生産性向上にもつながるメリットがたくさんあります。
困ったときはご相談ください。まずはできることから始めましょう!
次回の記事では「第2回:衛生委員会の構成メンバー」を詳しく解説します!
参考文献:
産業医ガイド第3版 日本産業医衛生学会産業医部会編 p64-71
神奈川労働衛生研究会 安全衛生イン会の効果的な進め方ポイント集 など
関連リンク:
厚生労働省 https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo44_1.html
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/0902-2a.pdf
Wikipedia 衛生委員会:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E5%85%A8%E8%A1%9B%E7%94%9F%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A#%E8%A1%9B%E7%94%9F%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A
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